ジェフリー・ヒントン

Geoffrey Hinton
ジェフリー・ヒントン
ジェフリー・ヒントン(2023)
生誕 (1947-12-06) 1947年12月6日(76歳)
イングランドの旗 イングランド ロンドン ウィンブルドン
居住 カナダの旗 カナダ
国籍 イギリスの旗 イギリス
研究分野 ニューラルネットワーク人工知能機械学習
出身校 ケンブリッジ大学学士
エディンバラ大学(PhD)
論文 Relaxation and its role in vision (1977)
博士課程
指導教員
ロングエット・ヒギンズ(英語版)
主な指導学生 ヤン・ルカン
主な業績 バックプロパゲーションボルツマンマシンディープラーニング
主な受賞歴 チューリング賞(2018)
ロイヤル・メダル(2022)
公式サイト
www.cs.toronto.edu/~hinton/
プロジェクト:人物伝
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ジェフリー・エヴァレスト・ヒントン: Geoffrey Everest Hinton1947年12月6日 - )は、イギリス生まれのコンピュータ科学および認知心理学の研究者。ニューラルネットワークの研究を行っており、人工知能(AI)研究の第一人者とみなされている[1]トロント大学名誉教授(2022年時点)[2][3]

経歴

ロンドンのウィンブルドンに生まれた。ケンブリッジ大学キングス・カレッジに入学し、生理学と哲学に専攻を学んだが、実験心理学に変更し、1970年に卒業、1978年にエディンバラ大学で人工知能の研究によりPh.D.を取得した。サセックス大学カリフォルニア大学サンディエゴ校(米国)、カーネギーメロン大学を経て、トロント大学コンピュータサイエンス学部教授に就任した。

業績

ニューラルネットワークのバックプロパゲーションボルツマンマシンオートエンコーダ、ディープ・ビリーフ・ネットワークの開発者の1人であり、これらの研究から、後のディープラーニングを生み出す。

2012年、ImageNetを用いた画像認識コンテスト「ILSVRC」(the ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge)の2012年大会に自身らが開発したAlexNet畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を採用)を持ち込み、初参加ながら次点を大きく引き離す高得点で優勝。これ以降、ディープラーニング分野の研究が注目され、巨大テック企業の大型投資が相次ぐ。

自身も2013年、自らが持つスタートアップ企業「DNNresearch Inc.」がGoogleに買収され(いわゆるアクハイヤー)、以降、非常勤としてGoogle Brain(英語版)にてAI研究に携わる。

2018年、ディープラーニングの取り組みを評価され、「計算機科学のノーベル賞」と言われるチューリング賞を受賞。同時受賞はヤン・ルカンニューヨーク大学、Meta)、ヨシュア・ベンジオモントリオール大学)。この3名は、「AIのゴッドファーザー」「ディープラーニングのゴッドファーザー」と呼ばれている[4]

2023年5月1日、AIの発達が自身の想定を超えており、その危険性について話せるようにと、Googleを退職したことを明らかにした[1][3][5][6]

受賞歴等

親族

父親はメキシコ育ちの昆虫学者ハワード・エベレスト・ヒントン(英語版)(1912-1977)。母親のマーガレットは教師で、兄と姉妹も教師や研究者である[7]。母方の伯父に経済学者コーリン・クラーク、元外交官で日本の大学で教えていたグレゴリー・クラークは母方のいとこ[7]

父方の祖父のジョージ・ブール・ヒントン(1882-1943)はメキシコで銀鉱を管理する鉱山技師で植物学者。その弟セバスチャン・ヒントンはシカゴの法律家でジャングルジムの考案者だが36歳で自殺。その妻のカルメリータ・ヒントン(英語版)は教育者で進歩主義の寄宿舎学校として知られたプットニー・スクール(英語版)の創立者。その子供たち(ジェフリーの父のいとこ)には、マルキスト作家のウィリアム・ヒントン、戦時中にはマンハッタン計画に関わった核物理学ジョアン・ヒントンがおり、二人とも中国で暮らしていた[7]

父方の曽祖父チャールズ・ハワード・ヒントン(1853-1907)は四次元超立方体(tesseract)の概念を作った数学者でSF作家だが、重婚で捕まって職を失い、一時横浜の英国人学校で教えたのち、プリンストン大学の教授となった。その妻マリーは夫の病死の翌年自殺したが、マリーの両親(ジェフリーの高祖父母)はブール代数で知られるジョージ・ブールと数学者のメアリー・エベレスト・ブール(英語版)エベレスト山の由来となったジョージ・エベレストの姪)である[7]。チャールズの父親のジェームズ・ヒントン外科医一夫多妻制提唱者、その父親はバプチスト牧師、その父も牧師で学校を経営していた。

出典

  1. ^ a b “AI想定より速く人知超える公算、危険性語るためグーグル退社=ヒントン氏”. ロイター. (2023年5月3日). https://jp.reuters.com/article/tech-ai-hinton-idJPKBN2WT19X 2023年5月3日閲覧。 
  2. ^ Daniela Hernandez (2013年5月7日). “The Man Behind the Google Brain: Andrew Ng and the Quest for the New AI”. Wired. 2023年5月3日閲覧。
  3. ^ a b 株式会社インプレス (2023年5月15日). “AI研究の第一人者ジェフリー・ヒントン博士がグーグルを離れた ほか【中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」2023/4/27〜5/10】”. INTERNET Watch. 2023年6月4日閲覧。
  4. ^ 日経クロステック(xTECH). “深層学習の「ゴッドファーザー」3人が指摘した、現在のAIに足りない点とは”. 日経クロステック(xTECH). 2023年5月16日閲覧。
  5. ^ 日本放送協会. “AI界の“ゴッドファーザー” ヒントン博士の警告 | NHK”. NHK NEWS WEB. 2024年3月12日閲覧。
  6. ^ “AIの第一人者ジェフリー・ヒントン氏、グーグル離れる AIの危険性に警鐘”. CNN.co.jp. CNN. (2023年5月2日). https://www.cnn.co.jp/tech/35203340.html 2023年5月3日閲覧。 
  7. ^ a b c d Mr.Robot Tronto Life, January 29, 2018

関連項目

外部リンク

  • Home Page of Geoffrey Hinton 公式ウェブサイト(トロント大学)(英語)
  • Geoffrey E. Hinton's Academic Genealogy
  • Geoffrey E. Hinton's Publications in Reverse Chronological Order
  • "The Next Generation of Neural Networks" - YouTube
  • Gatsby Computational Neuroscience Unit(founding director)
  • Encyclopedia article on Boltzmann Machines written by Geoffrey Hinton for Scholarpedia
  • "Deep learning pioneer Geoffrey Hinton has quit Google" (MIT Technology Review, 2023年5月1日)
  • ポータルコンピュータ
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