第40回宝塚記念

映像外部リンク
1999 宝塚記念
レース映像 jraofficial(JRA公式YouTubeチャンネル)による動画

第40回宝塚記念(だい40かいたからづかきねん)は、1999年7月11日阪神競馬場で施行された競馬競走である。

前年の有馬記念に続きグラスワンダーが優勝し、グランプリ連覇を果たした。

馬齢は一部を除いて旧表記を用いる。

レース施行時の状況

G1戦線を締めくくる「グランプリ」宝塚記念。

例年、この暑いの時期は休養に入る馬も多く、このレースがフルゲートになることはなく、この年も例外ではなかった。

しかし、前年くらいからは、有力馬に限れば、回避は少なくなってきていた(この時に回避した有力馬はセイウンスカイメジロブライト程度)。これは、近代競馬のスピード化や、当時活躍馬が多かった外国産馬(いわゆるマル外)は天皇賞を含む一部のG1レースに出走できず、外国産の有力馬にとっての春の中長距離G1は宝塚記念ただ一つというのも影響していた。

この競走で単勝1番人気に支持されたのは、同年の天皇賞(春)を制し、宝塚記念の後は凱旋門賞への出走を計画していた東京優駿(日本ダービー)優勝馬のスペシャルウィークであった。2番人気はスペシャルウィークと同年生まれで、怪物と称され3歳チャンピオン(JRA賞最優秀3歳牡馬部門受賞)に輝きながら翌年骨折し、復帰後は4歳ながら前年の有馬記念に勝った外国産馬グラスワンダーであった。レースはこの2頭の争いと見られていた。離れた3番人気は3歳馬のオースミブライト

この年から一般公募による宝塚記念オリジナルのファンファーレの使用が開始され、早川大海が作曲した曲が選ばれた[1]

出走馬と枠順

枠番 馬番 競走馬名 騎手 オッズ 調教師
1 1 ステイゴールド 牡6 熊沢重文 32.5(7人) 池江泰郎
2 2 ヒコーキグモ 牡6 安藤勝己 187.3(9人) 谷潔
3 3 オースミブライト 牡4 蛯名正義 15.9(3人) 中尾正
4 4 スエヒロコマンダー 牡5 藤田伸二 28.0(6人) 松元茂樹
5 5 グラスワンダー 牡5 的場均 2.8(2人) 尾形充弘
6 インターフラッグ 牡7 河内洋 296.4(10人) 工藤嘉見
6 7 マチカネフクキタル 牡6 佐藤哲三 34.6(8人) 二分久男
8 スターセレプション 騸8 幸英明 587.3(12人) 松田博資
7 9 スペシャルウィーク 牡5 武豊 1.5(1人) 白井寿昭
10 キングヘイロー 牡5 柴田善臣 26.7(5人) 坂口正大
8 11 ローゼンカバリー 牡7 菊沢隆徳 18.6(4人) 鈴木康弘
12 ニシノダイオー 牡8 村本善之 317.5(11人) 松田正弘

レース内容

勝ち馬・グラスワンダー
(1999年12月26日)
勝利騎手・的場均
(2010年11月27日)

レース展開

レースはまずニシノダイオーがハナ(先頭)に立ち、その後ろにヒコーキグモ、ステイゴールド、キングヘイロー、そして人気のスペシャルウィークが続き、その真後ろにグラスワンダーが追走した。

その後もレースはスローペースで進み、向こう正面でもスペシャルウィークが中盤に控え、これをマークする形で真後ろにグラスワンダーが続いた。このあたりで一度、スペシャルウィーク騎乗の武がグラスワンダーと騎乗していた的場均を探して左右を確認する仕草が見られ、このとき関西テレビ競馬中継実況をしていた杉本清が「相手はこれと決めた時の的場均は怖いぞ」と実況した[2]

的場とグラスワンダーは、武とスペシャルウィークをマーク。スペシャルウィークと武からしてみれば、的場とグラスワンダーに格好の標的とされてしまっていた。第3コーナー手前からスペシャルウィークが進出し、グラスワンダーもそれを見るようにポジションを押し上げていった。

そしてスペシャルウィークが第3コーナーで先頭に立ち、最後の直線入り口でスパートをかけるも、スペシャルウィークを標的に定めていたグラスワンダーが外から満を持して進出し、直線半ばであっという間にスペシャルウィークを抜き去り3馬身差をつけて快勝。敗れたスペシャルウィークも3着以下に7馬身もの大差をつけた結果となった。

結果

着順 馬名 勝ち時計
1着 グラスワンダー 2.12.1
2着 スペシャルウィーク 3
3着 ステイゴールド 7
4着 ローゼンカバリー 1 1/4
5着 マチカネフクキタル クビ
6着 オースミブライト クビ
7着 スエヒロコマンダー ハナ
8着 キングヘイロー 3 1/2
9着 ニシノダイオー 4
10着 ヒコーキグモ 1 3/4
11着 インターフラッグ ハナ
12着 スターセレプション 7

達成された記録

レース後

スペシャルウィーク陣営は「バネが違いすぎる」とグラスワンダーに完敗を認め、予定されていた凱旋門賞挑戦は白紙撤回された。その後2頭は再び第44回有馬記念で激突している。

その他

  • これから8年後の第48回宝塚記念でも似たようなレース展開、結果となった。スペシャルウィークと同じく、春の天皇賞馬のメイショウサムソンアドマイヤムーンが終始マークし、最後の直線で2頭が馬群から抜け出し、直線半ばでアドマイヤムーンがメイショウサムソンを抜き去るという結果となっている。また、2頭とも4歳馬(旧5歳)であったというのも同じである。
  • 2011年開催の第52回宝塚記念ではグラスワンダー産駒のアーネストリー(鞍上・佐藤哲三)がコースレコードで同レースを制し史上初の父子制覇を達成した。また、2着にはスペシャルウィーク産駒のブエナビスタ(鞍上・岩田康誠)が入線したことで産駒同士でのワンツーとなる結果になった。
  • 2018年に放送されたテレビアニメ作品『ウマ娘 プリティーダービー』の第1期・第8話「あなたの為に」は、本レースを題材として制作された。アニメファンである小島太一騎手(現・調教助手)は競馬情報誌「サラブレ」2018年7月号[3]にて行われた同アニメのプロデューサー伊藤隼之介との対談にて、このアニメを本レースの勝利騎手である的場均(現・調教師)に見せ、太鼓判を押された事を語っている[4][5]

出典

  1. ^ “競馬用語辞典 ファンファーレ”. JRA公式ホームページ. 2014年8月23日閲覧。
  2. ^ カンテレ競馬公式サイト「1999年宝塚記念」
  3. ^ 2018年バックナンバー - サラブレ
  4. ^ 2018年6月13日の発言(アニメ・ウマ娘公式)
  5. ^ 『ウマ箱』第2コーナー - TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー』公式サイト
日本の旗 宝塚記念勝ち馬
   

国際競走指定前:
01回(1960年) ホマレーヒロ
02回(1961年) シーザー
03回(1962年) コダマ
04回(1963年) リユウフオーレル
05回(1964年) ヒカルポーラ
06回(1965年) シンザン
07回(1966年) エイトクラウン
08回(1967年) タイヨウ
09回(1968年) ヒカルタカイ
第10回(1969年) ダテホーライ
第11回(1970年) スピードシンボリ
第12回(1971年) メジロムサシ
第13回(1972年) ショウフウミドリ
第14回(1973年) ハマノパレード
第15回(1974年) ハイセイコー
第16回(1975年) ナオキ
第17回(1976年) フジノパーシア
第18回(1977年) トウショウボーイ
第19回(1978年) エリモジョージ
第20回(1979年) サクラショウリ
第21回(1980年) テルテンリュウ
第22回(1981年) カツアール
第23回(1982年) モンテプリンス

第24回(1983年) ハギノカムイオー
第25回(1984年) カツラギエース
第26回(1985年) スズカコバン
第27回(1986年) パーシャンボーイ
第28回(1987年) スズパレード
第29回(1988年) タマモクロス
第30回(1989年) イナリワン
第31回(1990年) オサイチジョージ
第32回(1991年) メジロライアン
第33回(1992年) メジロパーマー
第34回(1993年) メジロマックイーン
第35回(1994年) ビワハヤヒデ
第36回(1995年) ダンツシアトル
第37回(1996年) マヤノトップガン

国際競走指定後:
第38回(1997年) 日本の旗 マーベラスサンデー
第39回(1998年) 日本の旗 サイレンススズカ
第40回(1999年) 日本の旗 グラスワンダー
第41回(2000年) 日本の旗 テイエムオペラオー

国際G1昇格後:
第42回(2001年) 日本の旗 メイショウドトウ
第43回(2002年) 日本の旗 ダンツフレーム

第44回(2003年) 日本の旗 ヒシミラクル
第45回(2004年) 日本の旗 タップダンスシチー
第46回(2005年) 日本の旗 スイープトウショウ
第47回(2006年) 日本の旗 ディープインパクト
第48回(2007年) 日本の旗 アドマイヤムーン
第49回(2008年) 日本の旗 エイシンデピュティ
第50回(2009年) 日本の旗 ドリームジャーニー
第51回(2010年) 日本の旗 ナカヤマフェスタ
第52回(2011年) 日本の旗 アーネストリー
第53回(2012年) 日本の旗 オルフェーヴル
第54回(2013年) 日本の旗 ゴールドシップ
第55回(2014年) 日本の旗 ゴールドシップ
第56回(2015年) 日本の旗 ラブリーデイ
第57回(2016年) 日本の旗 マリアライト
第58回(2017年) 日本の旗 サトノクラウン
第59回(2018年) 日本の旗 ミッキーロケット
第60回(2019年) 日本の旗 リスグラシュー
第61回(2020年) 日本の旗 クロノジェネシス
第62回(2021年) 日本の旗 クロノジェネシス
第63回(2022年) 日本の旗 タイトルホルダー
第64回(2023年) 日本の旗 イクイノックス
第65回(2024年)

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